2021年8月6日
2. 社会的投資ファンド(プロジェクトアセット)
投資家(出資者)は、地域の関心ごとや課題に対して小口からの投資を通じて事業参画することで、企業や社会の成長を支え、社会貢献につなげることができます。
当社が取り扱っている社会的投資ファンドは、「事業のカタチをした地域の資産」という意味を込めて「プロジェクトアセット」と呼んでいます。
プロジェクトアセットの仕組み
プロジェクトアセットの組成には、匿名組合という契約を用います。
匿名組合は、商法第535条に規定されている契約形態の一つで、投資家と営業者(事業を行う者)とが1対1で結ぶ「契約」のことです。匿名組合の出資者は匿名組合員となります。
なぜ「匿名」なのかと言うと、1対1の契約のため、匿名組合員が他の匿名組合員が誰なのか分からないからです。
匿名組合の起源は、中世イタリアにおける地中海貿易で活用されたコンメンダ(commenda)に由来しています。日本においても商法が1899年(明治32年)3月9日に公布され、それ以降匿名組合を用いた資金調達が使われ始めました。2021年NHK大河ドラマの主役である、渋沢栄一も匿名組合出資を数々行っています。
プロジェクトアセットに出資するメリット
①初心者にも向いている投資方法
プロジェクトアセットで用いている匿名組合出資は、集団投資スキームと呼ばれ第二項有価証券として、取り扱われています。
上場株式や投資信託は流動性が高く、基本的にいつでも売買可能ですが、匿名組合は、契約締結後は※原則として解約が予定されておりません。譲渡が行われるセカンダリー市場も無いため流動性が低い金融商品です。
流動性が低く、会計期間中は数年単位で出資金を営業者に預けた状態となるため、その点がリスクになります。
しかし、この点がメリットになるという面もあります。
投資経験や専門知識が少ない投資初心者の場合は、始めやすい投資手法となるのです。
例えば、上場企業の株を購入する場合、証券口座を開設して、過去のチャートの動き等も見た上で、自分で購入したい金額を決めて、タイミングを見て注文を行う必要があります。有名な企業の株は、例えば最低購入株数が100株から等決まっているものがあり、数十万円からでないと購入できないものもあります。
FX(外国為替証拠金取引)であれば、※レバレッジについても理解した上で、ポジションを持ち、売買のタイミングも自分で決める必要があります。こうした取引を行うためには、その金融商品のルールやチャートを分析できる知識や、ニュースなど※ファンダメンタルズにも目を向けている必要があります。
このように投資経験が少ない初心者にとっては、ハードルが高い金融商品です。
※商法540条1項によれば各当事者は6ヶ月前の予告によって営業年度の終わりに解除可能とされています。また、やむを得ない事由があるときに関しても、契約の解除をすることができるとされています。
※レバレッジ
「てこの原理」で、担保として預けた証拠金の何十倍にも相当する資金を動かして取引する方法です。
※ファンダメンタルズ
国や地域の場合、経済成長率、物価上昇率、財政収支などの経済状態などを表す指標のことです。
匿名組合は、募集期間に出資を行えば通常は全員同じ契約内容で、営業者と匿名組合契約を相対で締結します。そのため、個人投資家も法人の投資家も同じ匿名組合の契約内容で、同じ匿名組合事業にお金で応援する形になります。
※匿名組合間で優先劣後の関係があるものもあります。
出資後は、償還まで匿名組合員は待つだけです。
匿名組合は議決権もありませんし、営業者の経営に影響を及ぼす事はありませんので、会社の経営の責任が及ぶこともありません。出資金は元本割れする可能性はありますが、出資金以上の責任やリスクを負うことはありません。出資後は、エントライを通じて、事業の進捗状況や分配金の状況、本事業がどのように地域や社会に貢献しているのかという社会的インパクトについて確認することが可能です。
ただし、匿名組合等の第二項有価証券は税制面で課題があります。個人の場合、株や投資信託、FX、先物取引等の損益は申告分離課税として損益通算が可能ですが、匿名組合や信託受益権による損益は雑所得として計上され総合課税となります。損益通算も雑所得内でのみ可能となっています。また、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの対象にもなっていません。
※法人の場合は事業所得として損益通算可能です。
※(ファンドが株式などの有価証券投資をもっぱらに行う場合には、申告分離課税の対象となる場合があります)
②営業者の事業の状況を知る事が出来、モノや体験も投資家特典で得られる
エントライでは、プロジェクトアセットによって投資家特典を設定しているものがあります。投資家特典は出資金の償還とは別に、出資口数に応じて付与されます。商品のお届けやイベント参加権などそのプロジェクトに出資したことにより得られる特典です。
また、会計期間中は売上報告や、事業の進捗について、投資家のみが閲覧可能なブログに定期的にアップされます。投資家限定イベント等も開催されるため、営業者との距離が近い付き合いが可能で、コミュニケーションが取れる機会があります。エントライは、地域創生に取り組む魅力ある事業者、商品、サービスに特化したプラットフォームとなっていますので、投資を通じて、各地域や人との直接的な関わりが創れることも大きなメリットとなっています。
③事業が計画通り進み成果が発生すれば、その成果に応じて分配金が受け取れます
エントライでは、成果に応じて分配金が支払われるSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)や売上金額に連動して、分配金額が決まるプロジェクトアセットがあります。
売上金額に連動する場合は売上金額×分配率で分配金が計算されます。
以下は、募集総額1,000万円、1口金額40,000円、会計期間3年のプロジェクトアセットの例です。
元本を超えて利益が分配されるシミュレーション
(※あくまで条件を仮に設定した場合のシミュレーションであり、実際に利益が分配されることを約束するわけではありません。)
【1年目の分配金額】 12,000円
分配金総額:売上3,000万円×10%=300万円
1口あたり:300万円÷250口=12,000円
【2年目の分配金額】 14,000円
分配金総額:売上3,500万円×10%=350万円
1口あたり:350万円÷250口=14,000円
【3年目の分配金額】 16,000円
分配金総額:売上4,000万円×10%=400万円
1口あたり:400万円÷250口=16,000円
1口40,000円の出資金が3年後に42,000円の分配金となりました。
2,000円が元本からプラスとなり、利益になりました。償還率は105%です。
※分配金はデポジットに支払われ、出金時に事務手数料として500円をご負担いただきます。
なお、デポジットから新たなプロジェクトへ再投資をすると、振込手数料を節約することができます。
元本割れ時のシミュレーション
残念ながら、事業が不振により売上金額が計画通りとならなかった場合です。
【1年目の分配金額】10,000円
分配総額:売上2,500万円×10%=250万円
1口あたり:250万円÷250口=10,000円
【2年目の分配金額】11,200円
分配総額:売上2,800万円×10%=280万円
1口あたり:280万円÷250口=11,200円
【3年目の分配金額】12,000円
分配総額:売上3,000万円×10%=300万円
1口あたり:300万円÷250口=12,000円
1口40,000円の出資金が、3年後には合計33,200円の分配金額となりました。
6,800円が元本からマイナスとなり、損失になりました。償還率は83%です。
※※分配金はデポジットに支払われ、出金時に事務手数料として500円をご負担いただきます。
なお、デポジットから新たなプロジェクトへ再投資をすると、振込手数料を節約することができます。