2023年12月22日
1.SIBの動向
SIBは、2010年に英国でのSIBの導入をきっかけに英国・米国を中心に普及しました。米国のシンクタンクBrookingsによれば、2021年1月までに世界で組成されたSIBは、総計で206件(35カ国)、調達資金額は431百万ドル以上に発展しています。
日本においても、特に少子高齢化による社会的資源の逼迫から限られた予算を活用して最大限の成果を出すことが求められており、2016年に開始しました。SIB開始後、市場規模は拡大傾向にあり、2021年10月時点の内閣府の調査では、全国で68団体によって76件以上のSIB・PFS※の案件が実施されています。そのうち約7割の50件が医療・健康、介護分野です(出典:内閣府『成果連動型民間委託契約方式(PFS)による事業について(2021年10月末時点調査)』)。
※PFS(成果連動型民間委託契約方式)・・・行政が民間事業者に社会課題解決型の事業を委託し、その成果に応じて行政から報酬を支払う手法。SIBもPFSの一種。
岡山市SIBとは
岡山市内のフィットネス、スーパー、スポーツ用品店など、健康に関するサービスを提供する企業が共同で健康的なプログラムを提供し、多くの市民の方に受けていただくことで、BMIの改善をめざしました。これより、健康に関する課題の深刻化を防ぎ、社会保障関係費用の増大による市民の負担軽減につなげます。
本事業では、プラスソーシャルインベストメント株式会社がPS瀬戸内株式会社からプロジェクト(社会的投資ファンド)の組成を受託し、この事業にかかる費用(サービス提供事業者への事業費、広報宣伝費)の一部を募集しました。
あらかじめ事業の成果指標を設定し、中間支援組織がその事業を応援してくださる市民、企業の皆様から出資金を募り、サービス提供事業者の事業支援金とします。 事業期間終了時に事業の成果が達成していれば、岡山市から業務委託料が中間支援組織に支払われます。 その委託料を分配原資とし、中間支援組織を通じて出資者に分配金が支払われる仕組みです。
資金調達の仕組みと資金の流れは以下の通りです。
(1)事業の趣旨に賛同した出資者は、ファンド取扱者(プラスソーシャルインベストメント株式会社)が組成したSIB事業ファンドに出資します。
(2)ファンド取扱者(PSI)はファンド組成費用等を受け取ります。
(3)ファンド営業者である中間支援組織(PS瀬戸内株式会社)は、サービス提供事業者に業務委託料(事業費用)を配分します。
(4)事業運営会議に参加しているサービス提供事業者は、新たな生活習慣改善メニューを提供します。また、その他ポイント付与店を公募し、市内全域にサービス提供事業者を配置します。
(5)サービス利用者は、中間支援組織からサービス利用状況に応じた健康ポイントが付与され、年度末にポイントに応じた特典が送られます。
(6)事業の成果は、事業評価機関(日本老年学的評価研究機構)により、第三者評価を実施します。
(7)事業評価機関は岡山市に事業の評価結果を報告します。
(8)岡山市は評価結果に基づき中間支援組織に対して成果達成に応じた業務委託料を支払います。この2〜8を3年間繰り返します。
(9)最終年度、事業全体の評価を行った上で、出資者に対して成果に応じた分配金の償還を行います。
ふるさと応援クラウドファンディング「エントライ」とは
「エントライ」は、岡山市SIB事業においてファンド取扱者であるプラスソーシャルインベストメント株式会社が運営・管理するサービスで、地域社会の課題解決や次世代の担い手育成など、ご自身のふるさとやわがまちで取り組まれている挑戦(プロジェクト)を、想いのある資金によって応援することができる「ふるさと応援クラウドファンディング」です。投資型クラウドファンディングを中心に、寄付型、購入型クラウドファンディングを展開しています。これまでに成立した約50件のプロジェクトに対し累計約1,000人の支援者様から、総額約1.7億円の応援をいただきました(2018年7月〜2022年12月末の総額をもとに集計)。
SIBにおいては、30以上のプロジェクトを扱ってきました。
資金調達に関するご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。