「西条市SIB 丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクト」
運営者 カフェ「くらしとごはんリクル」櫻井啓太さん、櫻井明日香さん
2019年度の「つながり広がるチャレンジ応援事業 西条市版SIB」に取り組まれたくらしとごはんリクルの「丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクト」は、西条市の豊かな作物を美味しいうちに瓶に詰めて、くらしに寄り添うジャムを開発し販売を行いました。
西条市版SIBでは無事に成果目標の達成を果たし、SIBが終了した現在も地域に寄り添い、地域の食材を使いながら素材の旨みを引き立てる料理を提供されています。
そんな「丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクト」のその後について、櫻井啓太さんと櫻井明日香さんにお話をお伺いしましたので、ご紹介します。
◆「西条市SIB つながり広がるチャレンジ応援事業」特集ページ
※特集ページでは、最新の西条市版SIBの情報に更新されております。
◆東近江市SIB 丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクト 詳細ページ
【1】プロジェクトアセットでのチャレンジについて
SIBでのプロジェクトアセットにチャレンジしようと思われたのはなぜですか?
西条市で暮らすようになり、飲食店の経営を通して、西条市には四季折々の作物があることを知りました。
恵まれた気候や土壌、農家さんの努力から「食の宝庫:西条市」が成り立っています。
お店でも地域の果物を加工して、ドリンクやかき氷などを提供していました。
そんな中で果物の少しの傷や大きさの違いで出荷することができず、販売機会を逃してしまう課題があることを知りました。
地域には、多くの規格外品・廃棄される果物、販売先に困る農家さんの存在があったのです。
「飲食店としての経験・技術を活かして、ジャムを製造販売し、少しでも食品ロスを減らすことにつなげたい。」という気持ちにつながりました。
ジャムを通じて、西条の美味しい果物を知ってもらうことや西条市の認知度を向上させ地域の活性化につなげていくことができたらと思い、西条市版SIBに挑戦することを決意しました。
西条市版SIBとは:賛同してくれる個人や法人からの出資(投資)を事業資金として民間事業者がプロジェクトを実施し、プロジェクト開始前(採択時)に決めておいた成果目標を達成した場合、市が交付金を中間支援組織に交付し、それを原資として出資者に出資金元本を償還する仕組みです。2018年度〜2019年度は、「西条市特産品開発」「西条市商業地域等活性化」のテーマで実施し、2020年度以降さらに分野を拡大すべく「SDGsの達成」をテーマに実施しています。
※くらしとごはんリクルは、「西条市特産品開発」で事業を実施しました。
SIBにチャレンジされてみていかがでしたか?
チャレンジしてみて、「出資者から募ったお金を使わせていただくこと」「事業に関わる人の多さ」などが事業を進めるにあたって良いプレッシャーとなりました。
事業実施の目的は、以下3点を重視し、成果目標は以下の通りとなりました。
・ジャムを通して西条市のPR
・農家さんの販売促進
・西条市での雇用創出
成果目標
①開発したジャムを300個製造し販売を開始する
②2名の新規雇用をする
③お店に来る方を対象に試食品の提供とアンケートを実施し、結果を開発に活かす
④取組や自らの想いを伝える機会として、地域でのイベントへの出展を5回行う
一つ一つの目標には達成するまでの間に、必要なプロセスが必ずあります。
それらを日々の仕事の中で丁寧にこなしながら、ジャム作りと向き合っていました。
西条市役所地域振興課のSIB担当者の方とこまめな近況報告や打ち合わせがあったり、プラスソーシャルインベストメント株式会社の担当者の方が西条市訪問の際はお店に直接足を運んでくださり、事業の伴走をしていただいていることを実感しました。
また、出資者の方をはじめ、出資されてない方も取り組みについて気にかけてくださり声をかけていただくことが増えました。
SIBに関心のある大学生やSIBについて研究する大学院生、メディアからの取材依頼があったりと、自分たちの取り組みを説明する機会も多くありました。
この取り組みに向き合った分だけ、自分たちの活動に対する想いを言葉にする機会が増えました。
それらを実現しようと思う気持ちが取り組みに現れ、自分たちの言葉に説得力が増したように感じます。
SIBにチャレンジし、自分たちの活動を応援してくれる方のあたたかさに触れることも多く、貴重な経験となりました。
参考:成果目標の達成については「西条市SIB 丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクトのオンライン成果報告会レポート」からご覧ください。
【2】チャレンジ後の今
今現在、活動状況はいかがですか?またこれからの活動に対する意気込みを教えてください。
引き続き、丹原産はちみつ入り季節の果物ジャムの製造・販売を行っています。
ジャムは、販売だけでなく店内でもドリンクやかき氷に使用し提供しています。
SIB実施後のジャムの大きな動きとして、企業様より製造委託を受けたことや百貨店のカタログギフトに選定されるなどがありました。
新型コロナウイルス感染対策期間における取り組みとして、くらしとごはんリクルではできる限りの対策をして営業をしております。
お客様には特に、飲食時以外のマスク着用及び黙食のご協力をお願いしています。
また、テイクアウトも実施しています。
テイクアウトは、当日予約も可能ですが、店内の状況でお待たせすることやお時間調整のご相談させていただく可能性がありますので、事前予約がおすすめです。
テイクアウトメニュー
・くらしの彩り弁当 ¥864
・がんもどき5個入り白だし付き ¥756
・くらしの彩りおかず ¥1,512【オードブル】
・オードブル3.4人前 ¥5,400
・オードブル4.5人前 ¥10,800
左から「くらしの彩り弁当」、ある日の「オードブル(3.4人分)」
※オードブルは、2日前までのご予約をお願いいたします。
※テイクアウトメニューは、時期によって内容が異なる可能性があります。
今後の展開としては、ジャムの工房を設け、衛生管理・製造販売管理を向上させたいと考えております。
西条市版SIBから生まれたジャムですが、さらにバリエーションを増やしていきたいと思います。
【3】メッセージ
今現在、活動状況はいかがですか?またこれからの活動に対する意気込みを教えてください。出資されたみなさまや、社会的投資に関心をお持ちのみなさまへメッセージをお願いします。
より良い社会をつくるために自分たちができることは、まず意思を持ち、小さなことでも行動をすることが大事だと思いました。
自分たちだけではなく、みなさんのお力をお借りして、小さな渦がだんだん大きくなりカタチとなっていきました。
サポートする側もチャレンジする側も、それぞれの立場から生み出せるものがあると感じました。
西条市版SIBは、挑戦者の意識の変化をつくり、成長につながる機会だと思います。
このような機会をいただき、感謝しております。
ありがとうございました。
引き続きくらしとごはんリクルの取り組みに応援いただけると嬉しいです。
くらしとごはんリクルが2021年6月1日に6周年目を迎えた記念に。
櫻井さんご夫婦とスタッフさんの集合写真
インタビューを終えて
「西条市版SIBでジャム作りを実施していなかった場合、ジャム作りに対する取り組み方が違ったはず。」と振り返られた櫻井さんご夫婦。
櫻井さんご夫婦は、西条市版SIBで実施したことによって「地域にとって」の意味を改めて考えることができ、地域の活性化をより意識した事業を行っていく
ことにつながったそうです。
西条市版SIB実施後のくらしとごはんリクルの取り組みにも、新たな形で反映されていました。
2021年4〜7月の取り組みの一例は、以下の通りです。
①西条市「おいしい食べきり運動推進店」登録制度の趣旨に賛同し、食品ロスの削減に向けた取り組みを実践しています。
②住工房たかせさんに教えていただき、コンポスト※をDIYしました。廃棄量を減らすことに成功しました。また、人参の皮や大根の葉っぱは、住工房たかせさんのうさぎに食べてもらうなど工夫しています。
③2021年4月28日夜10時放送「都会を出て暮らそうよ BEYOND TOKYO 愛媛県西条市」で、名水を使った絶品ランチが食べられるお店としてご紹介されています。
④2021年7月発行の西条観光パンフレット「たび西条」のP15にて、「西条市の名産品を使ったレシピ」としてご案内いただいています。
⑤西条のマルノー物産株式会社の豚肉の通販商品「ひうちべっぴんポーク」のパンフレットに掲載用のレシピを作成し、紹介いただいています。
※コンポストとは「堆肥」や「堆肥をつくる容器」のこと。家庭からでる生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を、微生物の働きを活用して発酵・分解させ、昔から伝承されてきた日本の大切な知恵のひとつ。
地域で活動をする企業や団体との連携も増えています。
これからも飲食店を営み、地域を盛り上げる様々な取り組みにチャレンジをされていかれます。
くらしとごはんリクルの今後のご活躍も楽しみです。
くらしとごはんリクルの櫻井啓太さんと櫻井明日香さん、ありがとうございました!
プロジェクトの詳細は以下からご覧いただけます。
◆「西条市SIB つながり広がるチャレンジ応援事業」特集ページ
◆西条市SIB 丹原産はちみつ入り季節の果物ジャム開発プロジェクト 詳細ページ