2017年12月20日
1-1 社会的投資とは
深尾:本日は「Smalltalk〜紡ぐ〜」という当社ウェブサイトのコーナーの第1回ということで、社長の野池さんと私でトークセッションをしていくわけですが・・。
野池:はい。ただ、代表取締役同士なので、身内で話をする姿を読者の方に見ていただくわけで、もう、なんだか、ちょっと照れくさいですね(笑)
深尾:まぁ、このコーナーのキックオフということですので、まず私たちの思いなどを、二人の間で聞いたり、聞かれたりしながら、このコーナーの名前になっているSmalltalkつまり「世間話」っぽい感じで話を紡いでいけたら思っています。
野池:この場所は、私たちの手がけた「ボタニカルガーデン マンション プロジェクト」から生まれた「THE PICNIC《ザ ピクニック》」という場所なんですよね。
深尾:手前味噌ですが、少し読者の方へTHE PICNICのご紹介をすると、この建物は、私たちが社会的投資の仕組みを使って資金を集め、リノベーションした場所です。和歌山市のお城の近くにある、もともと築45年の4階建てのアパートで、今は2階から4階にかけて、オフィスや店舗としても使える12戸の貸室と、今私たちのいる1階はCUPS《カップス》というカフェになっています。緑豊かな裏庭があるのが特徴です。
社会的投資って?
野池:「社会的投資」についても、読者の方にふむふむと思ってほしいのですが、改めて社会的投資とはどういうものと言えますか?
深尾:そうですね。この場所を例にとれば、未活用資産となっているアパートの再生と、緑の保全と、地域コミュニティの醸成、ローカルビジネスの発展などいくつかの社会的要素が含まれていますが、要は「こんな面白くて優しい住まいを作ろうと思うんだけど、一緒にやりませんか?」と世間に聞いてみたというところです。
野池:こう言ってはなんですが、結構リアクションあるんですよね。「住みたい!」とか、「そんな場所いいね!」とか言ってくれる人が現れる。
深尾:で、中には資金を出そうと言ってくれる人も現れる。投資と言うと少し縁遠いようですが、言い換えれば、一つの地域社会の関心ごとに、さまざまな形で人が事業に参画するということですね。お金も出し合おうと・・。私たちPSIは、投資の仕組みを使って、参画の場面を増やそうと考えているわけです。
野池:しかし、そうなると寄付じゃだめなのかと聞かれそうですが・・・。
深尾:そうですね。これまでローカルな事業、地域の中で地域を支える事業活動への資金の提供には、寄付や助成金といった形のものがほとんどでした。まず前提として、寄付や助成金はこれまでも、これからも必要で重要な役割があると考えています。だた、これらは、これまで私たちが活動の中心としてきた世界ですが、正直、成果インパクトを求める時、スケールや横展開ができなかったわけです。
野池:なぜでしょうか?
深尾:寄付を「事業にお金を出す」という投資の一つの形と捉えた時、金銭的なリターンは考えずに、社会的なリターンを期待するわけですが、お金を出した後のモニタリングが十分にできなかったり、成果が見えにくかったりで、お金を出しっ放し、使いっぱなしになってしまっている側面があると思います。
一方で、投資という形をとると、一定のスケールも出すことができますし、経済的なリターンも求められますから、事業する方は、その投資家の期待に応えなければなりません。「いいことしましたよ」だけでなく、「実際に地域がこう変わった」という社会的インパクトが求められると同時に、経済的にもバランスをもって事業を設計し、経営していくことが強く求められます。
野池:投資の仕組みによって、事業資金を調達することが以前よりしやすくなると同時に、経済的リターン、社会的インパクトを出すことが求められる。緊張感が違いますね(笑)
深尾:そうですね。でも、世の多くの企業、事業者は同じかそれ以上の緊張感の中であたりまえに仕事をしているわけです。この点は、忘れないようにしたいですね。
つづく